人間のおやつの味を知ってしまった夜
ママとおにいわん(初登場)が食卓で何か食べていたから、いつものように二本脚立ちして覗いてみたわん。すると、何やらおいしそうな匂いがしたからさっと前足で手繰り寄せて食べてみたわん。
そうしたら、初めて食べる味だったわんけど、甘くて甘くておいしくて目玉飛び出たわん。夢中でむしゃむしゃ食べて床にこぼれた分もなめなめしたわん。
ママがちょうど一口食べたあと、「コーヒーと一緒に食べよ」と言ってお湯を沸かすために置いておいた食べかけだったわんから、ぼくがそれを食べちゃったのを見て悲鳴を上げてたわん。こんなにおいしいのに変なママわんね。
あとでこのおやつは金沢のお土産の「中田屋」のきんつばだと教えてもらったわん。ママのおとうわん(つまりおじいわん)が金沢出身だからよくお土産に買ってきてくれてママの大好物わんね。

中田屋のきんつばは甘さも控えめで変なものも入ってないからいいわんって、ママも諦めてたわん。
だけどぼくはその夜、人間のおやつがぼくのおやつの100倍おいしいわんことを知って、あるよこしまな考えが浮かぶようになったわん。
それは、ママがほめることをしてもう一度きんつばを食べるという考えわん。
さっそくほめてもらえるかやってみたら、今度はまたママが悲鳴をあげたわん。
なぜかって?知らんわん。家の中で久しぶりにおしっこしたからほめられると思ってたわんのに。
柴犬はおしっこは外でするって決めてるわんし、室内用トイレはとっくに片づけてなくなってたわんから、お部屋の隅っこのほうの物がごちゃごちゃ積みあがってるところにしてみたわんね。